高たんぱく・低脂肪で、鶏もも肉等と比較して安価な値段で売られていることから、手軽にたんぱく質を摂取できる食材として人気がある鶏むね肉。様々なレシピに使用できるのでレギュラー食材として冷蔵庫に常備している方もいらっしゃるかもしれません。今回はそんな鶏むね肉をさらに活用する為に、鶏むね肉の栄養や保存方法、美味しく食べるコツなどについてご紹介します!

鶏むね肉の特徴

鶏むね肉は鶏の胸の部分に位置する部位で、脂肪が少なく淡泊な味が特徴です。鶏もも肉よりも低カロリーでありながら、たんぱく質量は鶏もも肉よりも多く含まれており、トレーニング中や減量中の方に人気な食材となっています。皮無しの鶏むね肉で100gあたり約22.3gのたんぱく質を摂取できます。

たんぱく質の効果

たんぱく質は三大栄養素のひとつであり、20種類のアミノ酸で構成されている高分子化合物です。体内に取り入れられるとアミノ酸に分解され、筋肉や皮膚、髪や爪等に必要なたんぱく質へと再合成されます。たんぱく質が不足すると筋力が低下するだけでなく肌や髪、爪等のトラブルの原因となり、エネルギーが不足するため思考力や集中力が低下してしまいます。

たんぱく質には肉や魚、卵や乳製品等に含まれる「動物性たんぱく質」と、穀類や野菜、豆類等に含まれる「植物性たんぱく質」があります。それぞれに含まれているアミノ酸の種類は異なり、摂取に偏りがあると必要なアミノ酸が補えないので注意しましょう。

一日にどれだけ食べたらいいの?

成人に必要な1日のたんぱく質摂取推奨量は体重50kgの女性で約40g体重60kgの男性で約50gです。パックで売られている鶏むね肉は1枚約200g~300gなので、小さいサイズであれば1枚大きいサイズであれば約半分のサイズを目安に摂取してください。一食で必要なたんぱく質量を補うのではなく、2食に分けたり、他の食材と組み合わせてバランス良く摂取することが大切です。

皮付きの鶏むね肉に注意!

低カロリー低脂肪な鶏むね肉ですが、皮が付いたまま調理すると皮無しの鶏むね肉よりもカロリーや脂質が多くなってしまいます。

カロリー(100gあたり)
・鶏むね肉(皮無し)…108 kcal
・鶏むね肉(皮付き)…191 kcal
・鶏もも肉(皮無し)…116 kcal
・鶏もも肉(皮付き)…200kcal

たんぱく質量(100gあたり)
・鶏むね肉(皮無し)…22.3g
・鶏むね肉(皮付き)…19.5 g
・鶏もも肉(皮無し)…18.8g
・鶏もも肉(皮付き)…16.2g

脂質量(100gあたり)
・鶏むね肉(皮無し)…1.5 g
・鶏むね肉(皮付き)…11.6 g
・鶏もも肉(皮無し)…3.9g
・鶏もも肉(皮付き)…14g

ダイエット目的の場合は皮を取り除くなどしてできるだけ避けましょう。どうしても食べたい場合は茹で調理にしたり、フライパンに油をひかずに皮をカリカリに焼くと余分な脂が落とされますよ。むね肉本体を焼くときはしみ出した鶏肉の油で調理し、余分な脂はキッチンペーパーでふき取ってくださいね。

こんなにたくさん!鶏むね肉の栄養素

鶏むね肉にはたんぱく質の他にも、たんぱく質からエネルギーをつくる「ビタミンB6」、エネルギー代謝を支えストレスを和らげる「パントテン酸」、脂質や糖質を分解しエネルギーを作る「ナイアシン」等の栄養素が豊富に含まれています。また、必須アミノ酸もバランスよく含まれており、その中でも疲労回復やアンチエイジングにも効果的な「イミダゾールジペプチド」というアミノ酸が豊富に含まれています。ダイエット中のストレス緩和やトレーニングの疲労回復にも効果的な食材です。

■ビタミンB6
ビタミンB6はたんぱく質を分解してエネルギーに変え、筋肉や髪、皮膚や血液などを構成するたんぱく質に合成されるときに不可欠な栄養素です。脂質や炭水化物の代謝もサポートし、肝臓への脂肪沈着を抑制する働きがあります。ビタミンB6が不足してしまうと肌荒れや口内炎などの肌トラブルの原因となってしまいます。ビタミンB6は水溶性ビタミンなので、一度に摂りすぎても尿と一緒に体外に出てしまいます。そのためビタミンB6をしっかりと働かせるためには、まとめてではなく毎日少しずつ摂ることが重要です。

■パントテン酸
ビタミンB群のひとつで、エネルギー代謝を助けたり、ストレスへの抵抗力をつけるなどの効果があります。動脈硬化を予防したり免疫力を上げる為の抗体の合成してくれるので、健康維持の為に摂り入れたい栄養素です。

■ナイアシン
たんぱく質・脂質・糖質からエネルギーを作り、皮膚や粘膜を健康に保つ効果があります。肌の代謝やコラーゲンの合成を促してくれるので、肌荒れが気になる方にもオススメです。また、アルコールを分解してくれるので二日酔い予防にも効果的です。

■イミダゾールジペプチド
イミダゾールジペプチドはアミノ酸のカルノシンやアンセリンが結合した成分です。鶏むね肉やまぐろなどに多く含まれており、強い抗酸化作用を持っています。その為疲労回復やアンチエイジングにも効果的です。さらには精神的な疲労や認知症の予防にも効果があると言われています。筋トレで疲れた体を回復させるために積極的に摂り入れていきましょう。

ヘルシーなだけでなく、安くて栄養たっぷりな鶏むね肉。レシピも豊富なので、ダイエット中は常に冷蔵庫にストックしておきたいですね。

鶏むね肉をもっと美味しく食べよう

鶏むね肉は水分を多く含んでおり脂肪が少ない為、加熱調理をすると水分が抜けてパサつきがちです。中には鶏むね肉のパサパサとした食感が苦手がと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、工夫次第でしっとりとした食感に仕上げることができますよ。

〇焼き調理
鶏むね肉は焼きすぎると水分が抜けて硬くなってしまいます。鶏もも肉のように大きく切るのではなく、観音開きにしてそぎ切りにすると火の通りが早くなり硬くなるのを防げます。また、片栗粉等をまぶしてから焼くと水分が逃げにくくなるので柔らかい状態をキープできます。

〇茹で調理
沸騰したお湯で茹でると硬くなってしまうので、沸騰しない程度のお湯でさっと湯がき、残りは火を止めて余熱でじっくり調理をするとしっとりと仕上がります。耐熱性の保存袋等に調味料と入れて置いておくと調理工程の削減もできますよ!

💡一工夫でさらに美味しく!
鶏むね肉をやわらかく調理するには火加減や加熱時間が大切だとお話しましたが、さらに美味しく仕上げるには調理前にあらかじめ冷蔵庫から出して置きましょう。冷凍したお肉を使用する時は、中との温度差がでないようにしっかりと解凍します。中が冷えた状態で火を通そうとし、加熱時間が長くなるとパサつきの原因になります。調理前の30分~1時間前には常温に出しておくと短い時間で加熱できますよ!

CHECK!

鶏むね肉を使用したレシピはコチラ!

鶏肉の保存方法

鶏むね肉は冷蔵保存の場合、消費期限が約2日と早めです。その為買い置きをしておくのであれば冷蔵保存をしたいところ。しかし鶏むね肉は水分が多く含まれている分、冷蔵保存で置いておくと冷凍保存をすると解凍する時に水分が抜けてパサつきの原因になってしまいます。冷凍保存を場合は酒や塩コショウなどで予め下味をつけてジップロック等に入れ保存しましょう。水分を含ませておくことで解凍時に水分が抜けるのを防いでくれますよ。

〇冷凍での保存方法
保存期間:未使用で約1か月

1.キッチンペーパーなどで鶏むね肉の水分をふき取る
2.砂糖小さじ1/2、塩小さじ1/4、コショウ少々を順番に鶏むね肉にまぶす
3.冷凍用の保存袋に鶏むね肉と酒小さじ2を入れ、軽くもむ
4.空気を抜きながら袋の口を閉じ、冷凍庫で保存する


〇解凍方法方法
・鶏むね肉を使用する前の晩に冷蔵庫に移し解凍する
・袋のままボウルやバットに入れ流水解凍する
・レンジの解凍モード(200w)を使用する

鶏むね肉を解凍する場合は水分が抜けないよう、できるだけ自然解凍をするのがオススメです。電子レンジで加熱したり、冷凍のまま使用すると中までしっかりと加熱できず温度にムラが出る為オススメしません。すぐに使用したい場合は冷凍する前に鶏むね肉を下茹でし、手でほぐして小分けに保存すると解凍時間が短くなり手軽に使用できますよ!

鶏肉から出る赤い汁って何?

冷蔵保存をして日にちが経ったり、解凍をする時に出てくる赤い汁。一見血のようにも見えますが、こちらはドリップと呼ばれる分離した水分です。鶏むね肉は水分が多いのでドリップが特に出やすい食材です。このドリップにはカンピロバクターと呼ばれる菌が含まれていますが、熱で死滅するので鶏肉をしっかりと加熱調理をすれば水で洗わなくても問題ありません。しかし、ドリップが出ている場合は鶏むね肉をキッチンペーパー等で汁気が無くなるまでふき取ってから調理するのがベターでしょう。

鶏肉はしっかりと火を通して食べよう

カンピロバクターはドリップだけでなく、鶏肉自体にも含まれている可能性があります。このカンピロバクターは食中毒の原因となる菌で、感染すると2日~5日で嘔吐下痢発熱頭痛などの症状を引き起こします。カンピロバクターは75℃以上で1分以上加熱することで死滅しますので、中までしっかりと火を通してから食べるようにしましょう。また、鶏肉を切った包丁やまな板などはしっかりと洗ってから次の食材に使用しましょう。

カンピロバクターは時間が経つほど増殖していくので、ドリップが大量に出ている消費期限切れのものは食べないようにしてくださいね。

まとめ

様々なレシピに使用できる鶏むね肉の栄養や調理・保存方法についてご紹介しました。普段何気なく使用している鶏むね肉も、少しの工夫で鶏もも肉に負けないくらいしっとり柔らかな鶏むね肉になります。ダイエット中は少しでも脂質を減らしたい。でもパサパサとした鶏むね肉の食感は飽きてしまう…という方は、是非参考にしてみてくださいね!